世界で一番大切な親友へ
一瞬だけ、今ここが病院であることを、乃愛の胸にたくさんのチューブが繋がれていることを、美優は忘れそうになった


「あとさ、小学校5年生の時の運動会もヤバかったよね。二人三脚」


「ああーっ! あれは美優の歩幅が大きすぎたの!『いち、に、いち、に』って言ってるのに、美優だけ『いち、さん、ご』くらいで進むんだもん!」


「だって、早くゴールしたかったんだもん。結局、スタートして三歩で派手に絡まって転んで、最下位だったよね」


「転んだ拍子に、二人でお揃いでつけてたリボンがどこかに飛んでいっちゃってさ。放課後に二人で泣きながら校庭を探したよね」



くだらない、本当にバカバカしい思い出。



どれも、昨日のことのように鮮明に思い出せる。


美優の胸の奥に、じわりと温かいものが広がると同時に、言葉にできないほど鋭い痛みが突き刺さった。


思い出話ができるのは、そこに「過去」があるからだ。


そして私たちは、その過去を抱えて「未来」へ進んでいくために、思い出を語り合うはずだった


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