わすれもの

 次男は、よりによって馬にハマり出した。
 セミとか馬とか、ちょっとマイナーなものに惹かれるみたいだ。
 馬か……と思っていたら、競馬場に行くことになった。
 家族で行く予定が、長男は熱を出して私と留守番。
 次男と妻が府中競馬場へ行った。
 馬と一緒に写真に写る次男。
 ところどころを見ると、競馬場はきれいになったなと思う。
 競馬場の食事をした場所なんて、もっと暗かったんだから……

 その日、彼女と会ったのが何回目かは、もうわからない。
 その日のことは覚えているけれど、彼女と会って何回目だったっけ?
 順番がわからなくなっているところがある。
 競馬場へ行く話なんてなかった。
 だけど、府中で待ち合わせて、「どっか行く?」と聞かれたので、僕は有名なところ……と答えた結果が競馬場。
 人生初めて。
 府中に住んでるけど、彼女も初めて、と言っていた。
 競馬場は、空間が開けていて、気持ちよかった。
 彼女は僕を可愛がってくれた。
 今はもう売っていないスナック菓子のカレー味を一緒に食べた。
 昼食はおでんにして、一緒に食べた。
 まだ、彼女の気持ちなんてわからなかったけど、くすぐったくて嬉しくて。
 競馬場をぶらつく。
 背景の緑と青の奥行きが、彼女の美しさを際立たせる。
 風景が彼女に収束する感じ。
 彼女は、ただただ、美しかった。
 でも、その時の僕は、恥ずかしくてなにもできなかった。

 僕は、まだまだ知らないことが多すぎた。
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