まだ青い彼
 今の私は、未来のために選択をしなければならない。未来の私にとって正しい選択を――。

 数年後、若い男の子にそそのかされて傷つきもう手遅れになっている私は、今の一時の感情に流された選択を後悔する。そうならないための選択を今しなきゃ。ゴクン、と喉が鳴った。

「俺の方が分が悪い事、わかってるよ」

 広睦くんはそう言って立ち上がって、パンパンとズボンの座り皺を伸ばした。

「だからさ、あんまりそう俺の決心が揺るぎそうな誘いしないでくれませんか? 」

 いつもは生意気そうに笑うのに、自信なさそうな顔が可愛くて脱力する。

「わかった。帰ろっか」
「ね」
 いつものようにあてもなく歩いて二人の時間をつくることもなく、この日は別れた。
 あの子はあの子できっと私が思ってるよりずっとこの関係の終わりを考えてくれているのかもしれないな……。

 温い夜風の中何をやっているんだろう、私は。そうは思うのに今を楽しみたい気持ちもあって、
「婚活、頑張らなきゃな」と呟いた。

 未来に後悔する原因は一つじゃない。広睦くんと離れたのに結婚出来ていないパターンだってあるのだから。
 はぁ、成果が目に見える仕事の方がよっぽど楽だ。

 これをすれば結婚出来ると決まっていたら……、そんな子供みたいな発想を首を振って鼻で笑った。
 もうすでに過去の自分の後悔を引き受けているのに。

 大きな月に手のひらをかざし、薬指の隙間に閉じ込める。結婚なんて、出来るのかな。

 ふっと息を吐いてスマホで時間を確認した。急げば次の電車に乗れるな……。急ぎ足でホームに入って来た電車に乗ると、スマホの通知を確認する。

 『月曜か火曜』
 
 橘さんから有無を言わさないぶっきらぼうなメッセージが届いていた。

 何を急いでんだ、あの人……。
 
『承知しました、どちらでも空いてます』

 返信するや否や『月曜』とだけ返信があった。
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