まだ青い彼
 週末は平日に溜めた家事で消えて行った。洗濯をして、掃除をして、買い出しをして、花のある生活をしようと思い立って先週買った花はみっともなく変色していて逆に嫌な気持ちになって捨てた。それでも懲りずに花屋で気に入った花を一輪、生活感の溢れた買い物に添えた。

 衣替えもしなきゃならないし、見たい映画も溜まってるし。家に仕事を持ち込まないって言ったってさすがに段取りくらいはシミュレーションするし、一番大事な婚活もしなきゃならない。

 日常生活に追われ、日にちだけ過ぎるパターンだ、これ。
 私は観ようとしていた映画を諦め婚活サイトを順に開く。途中で同士である田原さんに連絡を取って近況を聞きアドバイスを求めた。他に何もつながりのない他人だからできる相談なんかもした。幾分気持ちは軽くなったけど、結局、何も進んでいなかった。

 前のめりも良くないけど、早く広睦くんと離れたいという矛盾もあった。これ以上ハマるのが怖いからだ。

 婚活に向いた夏服でも買いに行こうかな……そう思いながらも気づけば夕方も遅くなっていてまた今度でいいかと後回しにした。


 ――すっきりしない状況の中、仕事だけが順調で職場はホッとできる場所だった。月曜日の朝いちばん。橘さんが声をかけてきた。

「おう、東谷。悪いな、今日時間取らせて」
「あ、ああ。いいえ、大丈夫です……」

 何なら今話してもらっても……そう言いかけたが橘さんはさっさとどこかへ向かってしまった。
 忙しいか、そうだよね。週末は家に戻ったりしていたんだろうか。そう思いながら私もチームに合流した。

 そこにはまた尊敬する橘さんの姿があって、私は身を引き締めた。ああ、あの頃憧れた橘さんだ。
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