まだ青い彼
「鈍いな、東谷はほんと。今も昔も」
「悪かったですね」

 ムッとして言い返すけど橘さんはにこにこしていた。

「東谷の彼氏。あれ、めっちゃ若くないか」

 急に広睦くんの話を振られ、とっさには取り繕えなかった。全部顔に出ていたと思う。

「やっぱり、親戚じゃあないよな。でも婚活してるってことは恋愛と結婚は別ってことか? いやそんな分けれるほど器用じゃないだろ東谷。向こうの年齢がネックってことか」
「もう……」

 全部言い当てられて私は両手で顔を覆った。

「うーん」

 橘さんは顔を上げられない私の前でのんびり何か考える素振りをしていた。

「俺が離婚した原因なんだけど」
「は? 」

 私を困らせてそのまま放置して自分語り?不審に思って顔を上げると橘さんは
「うん」
 と柔らかに微笑んだ。私が知っている、いつもの、昔から変わらない橘さんの笑顔だ。

「そろそろ子供が欲しいなって奥さんに……ああ、元妻に言ったんだ。仕事も落ち着いてやっと余裕が出来て一息ついてそろそろ、そう思って言った。軽い気持ちで言った。そうだねって返って来ると思った。じゃあ『何であなたのタイミングなの? 』って言われて、何でって……。彼女はちょうど仕事が乗って来てこれからってタイミングだった。『日常の会話でそれがわからなかったの? 』って言われてハッとしたよ。『産まない側のあなたがどうしてタイミングを取るの? 』って……。向こうは結婚してすぐに子供が欲しかったみたいだ。続けて二人。そこから仕事復帰してっていうキャリアプラン。でも俺が忙しくてなかなかタイミングとれないのもあって。向こうが子供はいいかなって思い始めた頃に俺が欲しいと言い出した。『私がいくつか知ってる? 』冷ややかにそう聞かれた時はもう向こうの気持ちは決まったんだろうな」
 
 私のライフプランにも出産は含まれていて。年齢の壁がいかに厳しいか理解してルつもりだった。それで悩んでいたのだから。
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