まだ青い彼
第10話
 ――私は広睦くんと別れたあとどうするか自分で考えてた通り仕事に集中した。

 橘さんには広睦くんとのことを聞かれた時に別れたことだけ伝えた。待つと言った橘さんを選ぶことは逃げることになる気がして、結局私には無理だった。橘さんは私の気持ちを尊重し、淡々と仕事の関わりと、時々息抜きに食事に連れて行ってくれた。


 仕事があるから倒れずにいられる。やっぱり恋愛一辺倒は良くないな。そう思い返して満足したもののすぐにはっとした。広睦くんとのことは元々恋愛と言うより広睦くんが納得するための期間で、いつの間にか三脚の一辺になったんだよなぁ。

 広睦くんの復讐とやらはわたしにじわじわ効いていて、婚期を逃すのはいただけないけど、逃してしまうかもしれないくらい沼にはまってしまっていた。どっぷりとはまっていた、そう自覚したのは無くした瞬間だ。

 やっぱり恋愛は頭でするものじゃない。婚活だって割り切らなきゃならないのにいつまでも心が邪魔をする。
 広睦くんのことは悲しいけど、なんかすっきり…………でもないけど、恨む気持ちもなく、かと言って引きずっているわけでもない不思議な感覚だ。

 卒業式を終えてもまだ普通に登校しちゃいそうな感覚。もう卒業してここの生徒じゃないのに、みたいな?

「何を……言ってるんだろう」

 ぼーっと部屋の窓から空を見ると、小さな飛行機が雲の筋を作るのが見えた。
 元気でやってるのかな、海外はどうだったかな。今度お土産話を聞かせてもら……ああ、もう会えないんだっけ。もう会えないのが不思議な気分だ。

 頭がぼーっとする。
 休みの日はずっとこうやって部屋で過ごしていた。まどろみの中で夢なのか、現実なのか。暑さのせいかな。

 あんな青空なのに、また急な雨になるかもしれない。いいか、どうせ出かける用事は無いのだから――……。

 
< 142 / 160 >

この作品をシェア

pagetop