まだ青い彼
広睦くんはチラっと私の背後を見て、私に向き直った。私はまだ声も出せずにいた。少し焼けた肌が痩せたようにも見せた。
「あ、旅行はどうだった、どこへ行ったの」
自分でも的外れな質問なのはわかっているけど口を突いて出てきたのがこれだけだった。
広睦くんが力なく眉を下げる。
「聞きたい? それ」
「うん。でもまずはそこじゃない、よね」
広睦くんはわずかに微笑んで直ぐに深刻そうな表情に戻った。遠慮がちに距離を置いて私の横に座る。
「今は違うから」
「……うん」
「あの日、なんで怒らないんだよって自分の事を棚に上げてイラっとした。怒ってくれたら言い訳もできたのにって。けど、気づいちゃったんだ。春美さんが怒るわけないじゃんって。どのみち別れるつもりで、別れるきっかけ探してる人が怒るわけないよなって。……俺に気持ちが無い人が俺の動向で何か感じるはずがない、って……」
ずっと、別れなきゃ、と思っていたことが広睦くんにも伝わっていたんだろう。
「そんなことないよ。私が怒らなかったのはそんな権利が無いから。それと……広睦くんの気持ちがわかってたからだよ。最初から違和感があったの、だってあなた、私を手放さない行動を取るばかりで一度も好きだって言わなかったじゃない。騙しきれてないのよ。そういうとこ、人の好さが出ちゃったんじゃない? 嘘つけないとこ」
広睦くんは目を見開き、バツが悪そうに顔を逸らした。
ずっと私に押しが強いふりをしながら肝心な一言が無かった。あれだけわかりやすく感情表現をするんだったら好きだって何度も言いそうなのに。
それに……キス以上の事はしなかった。しようと思えばいくらでも出来たのに。
「言わなくったって態度でわかるだろ」
「はは、だからー、わかったんだよ。態度で。だてに年食ってないよ私。そりゃあ、年齢より恋愛経験少ないかもしれないけど、相手が自分の事好きかどうか、言葉より態度の方がわかる時あ……る……」
思い出しながら顔を上げるとそこには私をまっすぐ見つめる広睦くんのすがるような瞳がある。私、何かを……見過ごしている。
「あ、旅行はどうだった、どこへ行ったの」
自分でも的外れな質問なのはわかっているけど口を突いて出てきたのがこれだけだった。
広睦くんが力なく眉を下げる。
「聞きたい? それ」
「うん。でもまずはそこじゃない、よね」
広睦くんはわずかに微笑んで直ぐに深刻そうな表情に戻った。遠慮がちに距離を置いて私の横に座る。
「今は違うから」
「……うん」
「あの日、なんで怒らないんだよって自分の事を棚に上げてイラっとした。怒ってくれたら言い訳もできたのにって。けど、気づいちゃったんだ。春美さんが怒るわけないじゃんって。どのみち別れるつもりで、別れるきっかけ探してる人が怒るわけないよなって。……俺に気持ちが無い人が俺の動向で何か感じるはずがない、って……」
ずっと、別れなきゃ、と思っていたことが広睦くんにも伝わっていたんだろう。
「そんなことないよ。私が怒らなかったのはそんな権利が無いから。それと……広睦くんの気持ちがわかってたからだよ。最初から違和感があったの、だってあなた、私を手放さない行動を取るばかりで一度も好きだって言わなかったじゃない。騙しきれてないのよ。そういうとこ、人の好さが出ちゃったんじゃない? 嘘つけないとこ」
広睦くんは目を見開き、バツが悪そうに顔を逸らした。
ずっと私に押しが強いふりをしながら肝心な一言が無かった。あれだけわかりやすく感情表現をするんだったら好きだって何度も言いそうなのに。
それに……キス以上の事はしなかった。しようと思えばいくらでも出来たのに。
「言わなくったって態度でわかるだろ」
「はは、だからー、わかったんだよ。態度で。だてに年食ってないよ私。そりゃあ、年齢より恋愛経験少ないかもしれないけど、相手が自分の事好きかどうか、言葉より態度の方がわかる時あ……る……」
思い出しながら顔を上げるとそこには私をまっすぐ見つめる広睦くんのすがるような瞳がある。私、何かを……見過ごしている。