まだ青い彼
 「頼む。頼むって東谷。飯、飯に付き合ってくれ。もう限界なんだ」

 後日。そう言う橘さんに冷ややかな視線を返す。

「嫌ですよ、()()()()()がいい顔しませんもん」
 まあいい顔しないのは事実だけど広睦くんは今となってはもう気にしないだろうとは思う。
「何ならその婚約者も呼んでいいから、頼む」
「巻き込まないで下さいよ。私、沢田さんと隣の席なのに嫌われたくないですって」
「そこを何とか、バレないように、裏口から出て……」
「うちの会社裏口無いですって、あるの非常口だけ」
「いいから、いいから。今すぐ出て、店で待ち合わせ。な? 」
「はーもう、めんどくさいなぁ」
 
 そう言いながらも私は橘さんに従う。どうも橘さんには弱い。あと、ちょっと面白いから、と言うのもある。

 ことの顛末はこうだ――――。

「悪かった、東谷」
 食事に行った橘さんが唐突に私に謝罪した。

「何がですか」
「『俺はいいと思うけどなぁ』なんて安易に言ったことだ」
「ああ、はい。『いいんじゃない? って思うけど。男側ならそのくらい年下でも『お前上手くやったなぁ』なんつってニヤニヤされるだけだわ』って言ったことですね? 」

 橘さんはうぐっと言葉に詰まった。

「私は、あの時の言葉にすごく救われたんですよ。だから橘さんにはすごく感謝してますよ」
「……いやぁ、きついって。さすがに」
「それ私に言います? 」
「だからー、どこか他人事で当事者になったら厳しいなって痛感してお前に謝ってるんじゃないか。だから、何とか沢田さんに諦めるようになだめてくれないか? 」
「ええー、()()()()()()()()()()()

 にっこり笑うと橘さんは泣きついてきた。

「東谷ぁ、お前面白がってるだろう。12歳差だぞ……」
「いい子ですよ、彼女」
「そうだけど。わかってるからこそ、こう穏便に……」
「まあ、頑張ってください」

 なかなかお似合いだと思う。私はどっちの味方もしない。
 
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