まだ青い彼
 ――結局私は日曜日も七瀬広睦のことばかり考えて過ごしていた。つまり、週末のだいたい。

 彼からは特にあれ以来連絡はなかった。以前言ってた通りそう恋愛に依存しないタイプらしい。それか、私にさほど興味がないか。
 一般的に好みが偏らないほどの容姿だ。モテるに決まっていて、私に執着する必要もないような子だ。

 休日は何をしているんだろう。夏明けにはバイトもやめるって言ってた。バイトをやめてあとはどうするんだろう……。

 先を考えない関係では必要ない情報なのに、気になる。知ってどうするのって思うのに、気になる。ダメだ、このままじゃダメ。
 明日は仕事だから今日は家にいようって決めてたのに。

 立ち上がり、部屋着からお気に入りの服に着替えた。髪も整えてメイクもしっかりして出かける。家にいると色々考えすぎてしまう。気分転換に街に繰り出すことにした。ウィンドウショッピングでもして考えすぎる時間を失くそう。気分転換しないと。
 
 電車に揺られ、外の景色の手前、ガラスに映る自分を眺めていた。
 めかし込んでも年相応の姿が映っていた。

 街の雑踏は部屋の静寂より今の私には快適だった。
 いつもよりカジュアルなブランドを覗いては意識があの子に向いていることを思い知らされた。

 ああ、まずいまずい。
 色んな人とすれ違う。小さな子供を連れた夫婦、家族連れ、親が私と同い年くらいだ。そう、私はあっち側の年だよね……。ふと、学生だろう団体とすれ違う。賑やかな雰囲気に若さが滲んでいた。

 そうだよね、あの子はあそこにいる側の人間で……。
 不意に追っていた目が留まった。

 向こうも私を目で追い、しっかりと目が合うと目を見開き、ふいっと顔を逸らし、その子たちと雑踏に消えて行った。

 あの子だった。
 無邪気に友達と笑う、七瀬広睦がそこにいた。彼がいる場所だった。

 目、逸らされちゃったな――。
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