まだ青い彼
 え?
 何?結局何が起こったの。何なの。苛立ったくせにすぐに可愛い顔で笑って。

 何が何だかわからないまま七瀬くんとは別れ、家に帰ってきた。
 結局彼は……
「言わなかったよね、理由」

 どうして、私を引き留めるの?

「あの子、言わなかったよね」

 頭がぼーっとする。もやもやする。はっきり言ってくれたら、私のこと好きだって。それなら私も、関係の継続を考えたかもしれないの……

 「いやっ、何言ってるの私! 違うから。考えないから。私は年相応の人と同じ目線で生きていける人と結婚するんだから。寄り道なんてしてられない! 」

 立ち上がって不意に湧き出る意味のない発想を打ち消すように部屋を歩き回った。そうよ、目的は結婚。ちゃんと、真剣なやつで、子供の事とか考えたらリミットがあるんだから。私はもう、あの子には誠意を見せたつもりだ。あの子にはまだまだ未来があって急ぐ必要は無い。そうよ、あの子はほかの誰かとゆっくり愛を育んで、それから結婚したらいいのよ。1度失敗してるんだから。他の……

 チクンと胸が痛んだ。指先で胸を押さえる。いたた、この痛みは羨ましいんだ。まだゆっくりじっくり相手を選ぶ時間があるあの子が……。それだけの事。この年まで誰かとそんな関係を築いて来られなかったのは私の敗因だ。妬んでも仕方がない。

 誰もいないから気持ちが揺れるのよ。相手を探さなきゃ。一先ずあの子と何もなかったのはまだ良かったんだから。
 そうは思うけど、恋をどうはじめていいのかわからなくなっていた。

 学生の時は同級生で、社会人になってからは先輩(橘さん)同僚(三宅くん)。ほのかな好きになれそうな感情も含めれば、だけど。30手前で別れた元カレは友達の紹介だった。

 友達の紹介、かぁ。
 思い立って友達に連絡を取ってみた。“誰か男紹介して”じゃなくて、『久しぶりにランチに行かない? 』って。
 休日をルーティン以外で過ごそうと思ったからだ。今のままじゃ、良くない。
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