まだ青い彼
「おはよう、春美さん」
電車に乗るなり、人をかき分けるように私近づき、七瀬広睦は何事もなかったかのように挨拶をする。
「おはよう。久しぶりね」
つい口を突いてしまって七瀬広睦は目を軽く見開くと吹き出した。
「久しぶりって、月曜に会ったばっかじゃん。今日金曜ね。4日ぶり。元々俺週に2回しかこの電車乗らないし」
「……。また明日って言うから」
「言ったっけ。覚えてない。ただ言っただけだったかも」
「まぁ、いいんだけど、別に」
慌てて誤魔化すけど、もう口にしてしまった後だ。
「へぇ」
片方の口角を上げて意味深に笑う。
「待ってないってば」
「何も言ってないってば」
やられた。悔しくて下唇を噛む。彼は満足そうに頷き、それ以上茶化すことはなかった。
「婚活、上手くいってないの」
その代わり核心を突いてきた。
「そんな簡単に相手が見つかるわけないじゃないの」
「うん。よかった」
「よかったって、あなたねぇ」
「俺にとっては良かったってハナシ」
「……」
何て言っていいかわからず、口を閉ざした。
「提案がある」
「え、満員電車の中で?」
「うん。やっぱり、微妙なまま過ごすの嫌だし、婚活しながら彼氏が出来るまで、俺とつき合ってよ」
「は? 何言ってるの。そんなの無理に決まってるでしょ」
「何で? 他も色々見たらいいじゃん。隙間時間てこと。女の人そういうのよくやるでしょ」
「私は無理。そんな器用なこと出来ない」
「そんなこと言ってちゃダメだって。器用に生きなきゃ婚活なんて無理だよ。婚活って色んな男を結婚相手にどうかってふるいにかけるんだろ。俺だって一旦置いておく相手として悪くないと思うけど」
一旦置いておく……。私がすぐに断れなかったのはそんな利用するような事、と気が咎めたにも関わらず、器用に生きてみたいわけではなく。すでに一旦心に留まっているこの子の事をどうにかしなきゃと思う気持ちだった。
結局ちゃんと断れないまま押し切られるように電車を降りた。
電車に乗るなり、人をかき分けるように私近づき、七瀬広睦は何事もなかったかのように挨拶をする。
「おはよう。久しぶりね」
つい口を突いてしまって七瀬広睦は目を軽く見開くと吹き出した。
「久しぶりって、月曜に会ったばっかじゃん。今日金曜ね。4日ぶり。元々俺週に2回しかこの電車乗らないし」
「……。また明日って言うから」
「言ったっけ。覚えてない。ただ言っただけだったかも」
「まぁ、いいんだけど、別に」
慌てて誤魔化すけど、もう口にしてしまった後だ。
「へぇ」
片方の口角を上げて意味深に笑う。
「待ってないってば」
「何も言ってないってば」
やられた。悔しくて下唇を噛む。彼は満足そうに頷き、それ以上茶化すことはなかった。
「婚活、上手くいってないの」
その代わり核心を突いてきた。
「そんな簡単に相手が見つかるわけないじゃないの」
「うん。よかった」
「よかったって、あなたねぇ」
「俺にとっては良かったってハナシ」
「……」
何て言っていいかわからず、口を閉ざした。
「提案がある」
「え、満員電車の中で?」
「うん。やっぱり、微妙なまま過ごすの嫌だし、婚活しながら彼氏が出来るまで、俺とつき合ってよ」
「は? 何言ってるの。そんなの無理に決まってるでしょ」
「何で? 他も色々見たらいいじゃん。隙間時間てこと。女の人そういうのよくやるでしょ」
「私は無理。そんな器用なこと出来ない」
「そんなこと言ってちゃダメだって。器用に生きなきゃ婚活なんて無理だよ。婚活って色んな男を結婚相手にどうかってふるいにかけるんだろ。俺だって一旦置いておく相手として悪くないと思うけど」
一旦置いておく……。私がすぐに断れなかったのはそんな利用するような事、と気が咎めたにも関わらず、器用に生きてみたいわけではなく。すでに一旦心に留まっているこの子の事をどうにかしなきゃと思う気持ちだった。
結局ちゃんと断れないまま押し切られるように電車を降りた。