まだ青い彼
「どう、食えそう? 」
 私には合わなかったか心配してくれてるらしい。
「うん。美味しいよ」
「そう、こっちもうまいよ。食べて、肉食って」
「え、お肉はいいよ」
「そう言わず。せっかくなんだし」

 言われるまま端の方をそっとすくおうとすると私のスプーンにせっせとライス、その上にステーキ一切れを乗せた。“食え”とばかりの視線に口へ運ぶ。大口開けることに恥ずかしいけど、食欲そそるガーリックの香りが広がる。……そして、噛み応えのあるステーキがアメリカンな感じがする。

「……おいし」
 
 至近距離で見つめられると、自分の姿が気になって仕方ない。鏡を出して口に何かついていないか、前髪は変じゃないか、ファンデはよれていないか、アイラインは滲んでいないか。異性と出かけた時に、浮ついた緊張感がずっと続く感じ。そうだデートするってこんなんだったな。

「俺も、そっちもらっていいですか? 」
「あ、いいよ。どうぞどうぞ。こっち食べてないからソースたっぷりのとこがっつりいっちゃって」

 くるりプレートを回して差し出すと、ふっと笑う。前髪を片手で書き上げると顔寄せる。

「あ」

 口を開けて待つ。

「え? 」
「ああ。もっとデカイ口開けなきゃな」

 大口開けて間抜けなはずの顔さえ、かっこよくて……え?

「まだ? 」
「あ、ごめん」

 急いでホワイトソースたっぷりの美味しそうなところをすくって口へと運ぶ。
 彼がスプーンを口に入れた瞬間、ぶわっと体温が上がった。いや、何を素直に食べさせてあげてるのよ、私。

「じじじじ自分で食べなよ」
「はは。ね、ソースついてない? 」
「だだだだだ大丈夫」

 そっか、ソースとかはついてない?って相手に確認してもらえばいいのか。って出来るかぁ。

「春美さん、豪快に口に入れてくれるんだもん」

 ……確かに。何も1回で口に詰め込む必要は無かったのに。

 
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