まだ青い彼
 居酒屋に着くと向き合った。
 「何か色々確認しておきたいから、1度ちゃんと話しましょう」

 私がそう言うと目を丸くして
「真面目だなぁ。適当でいいのに」
 と笑った。

「適当に扱いたくないのよ」
「そうだね。俺の方は適当に扱うつもりないよ。OK、何を決めておく? 婚活して相手が見つかるまで、だから他の男とのデートも許容範囲ってことになるね」
「じゃあ、あなたも対等じゃないと。他の女の子と……」
「いやいや。俺は違うでしょ。ほかの子とデートする目的がないし、春美さんいる間は絶対本命にはならないから向こうにも失礼。俺は、春美さんと別れてからでいいや。他は」
「でも……」
「いいって。そこにフェア求めてない。他! 」
「あまり、付き合ってることがわからないように……」
「ああ、まぁ婚活中なのに男の影感じさせてる場合じゃないか」
「あなたが、それでもいいなら」
()()。呼んでみ」
「……広睦……()()
「うん。まぁ、いいんじゃないんですか」

 ほのかに顔が赤い広睦くんに気づいた。そういえば、本人に呼んだこと……なかったのかも。

「お酒、そんなに強くないの? 」
「え、ああ。わかる? 普段友達とも金かかるからってあんま飲まないし、眠くなるから」
「そっか、私もあんまり強くない」

 言ってから思った。この子まだ21歳何だった。お酒飲めるようになってそんなに経ってないのに強いわけないじゃない。

「俺の父親は酒強いから俺も強いと思ったんだけどな……」
「まだ慣れてないだけじゃない。お酒の強さって遺伝なの? 」
「わかんない。けど、顔赤くなるかならないかは遺伝な気がする。顔、あっつ。ほら」

 私の手を取り、自分の頬に当てがった。上目遣いの目が胸に刺さるようでドッと汗が噴き出る。手から伝わる熱と肌の柔らかさ、それから、綺麗な瞳。

「ほ、ほんとだ。熱いね」
 慌てて手を引っ込めようとするけど、つなぎ留められる。
「きもちー……」
 容姿が優れている、というのは一種の鋭い武器だと思う。 
< 75 / 160 >

この作品をシェア

pagetop