まだ青い彼
第6話
「お疲れ様。お待たせ」
 仕事帰り、彼と会う日は少し気持ちが浮ついてそれを落ち着かせてから声をかける。
 気恥ずかしさで早めに逸らした目を気にすることなく広睦くんは身体を預けていた壁から身体を離した。
「うん。春美さんもお疲れ様。あ、半袖じゃん。新鮮でいいですね」
「もう暑くなってきたから」
「だね。何食べる? 」

 広睦くんは少し先を歩きながら私に尋ねた。
「えーっと、どうしようかな」
「俺決めていい? 」

 そう言って私たちのそれぞれの最寄駅の中間ぐらいにある居酒屋へと向かった。

 「今日は何飲もうかな」

 彼は毎回違うお酒を頼む。自分に合うお酒を色々と試してるんだろうなって思う。

「あ、これ旨かったんだ。春菊、食べれます? 」
「うん。好き好き。何? 」
「春菊のぺペロンサラダ。俺、これで春菊食べれるようになった。あとねえ、エビマヨ頼んでい? 好きなんだ。春美さんは何がいい? 」

 注文用タブレットを器用に扱いながらカートに入れていく。
 先に届いたドリンクのグラスを合わせ、一息つく。まだ、この子が私の恋人だなんてピンとこない。

「どうかしましたか? じっと見て」
「何か、不思議だなって。この前まで電車で見かける人、だったのが一緒にご飯食べてるんだもん」
「よく言う。そっちが声かけて来たくせに」
「ゴホン、まぁ、そうなんだけど。意外だよね、広睦くんつき合ったらもっとかわいい感じかと思ってたけど、拍子抜けするくらい淡々として、普通」
「あー、それ。ありがちな期待だ」
「期待? 」
「そう! 年下の男に期待するのって『かわいい』『わんこ系』『癒し』みたいな、バリキャリと飼い犬みたいな期待多い。仕事疲れて帰って来ると美味しいご飯作って待ってます! まではいかなくても『かわいい』を期待されがち。これって何の影響なの」

 何の……って言われてもな。
 
 

 

 
 
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