まだ青い彼
「広睦くんさ、時々ドキッとするくらい大人っぽい表情をするね」
「え、そうですか」

 広睦くんは自覚が無かったのか恥ずかしそうにして、少し考えた後私に向き直る。

「じゃあ、自認30くらいってことでどうでしょう? 」
「いやいや、無理があるでしょう」
「んだよ。最初俺の事同年代だって思ってたくせに」
「それは、今なら何で気づかなかったのって思うけど! 君が! こっち敬語で喋ってるのにため口きくからでしょ。単に無法者なだけだったって」
「はは、無法者って。すみませんねぇ、常識無くて」
「いいんですよ、まだ学生ですからね。これから社会に出て勉強してもらって」

 子供扱いされたのが気に入らないらしく、じと目で見て来るのがおかしくてくすくす笑った。

「映画。で、ウロウロしましょ。夏服でも見ようかな」
「いいね。楽しみ」

 付き合う前は色々心配したけどそう話が合わないわけでも楽しめないわけでもなくて、自分でも驚く。
 
「一緒にいて案外年の差感じないっしょ。ね」
 考えてたことを見透かされて苦笑いする。
「……まぁ、色々話してたらちょっとわかんない、みたいなことも出て来るんだろうけど」
「ふん。昔見たアニメの話とか、高校時代時よく聞いた音楽、みたいな話で盛り上がるのは同窓会でやってもらって。俺とは俺としか出来ない話をしたらいいんじゃないですか」

 生意気言っちゃって。そうは思うけど、言っていることはもっともだ。わざわざこの子がわからない話をする必要は無いし、この子だって友達とする話を私にしてこないのだから。

「じゃあね」
 いつも通り同じ電車。今日は反対方向に乗って別れた。

 ――楽しかった。
 楽しくてもう少し一緒にいたかったし、次のデートは楽しみだ。でも、どんなに楽しくてもいつも少し物悲しい。そんな感情が最後にやってくる。
< 88 / 160 >

この作品をシェア

pagetop