まだ青い彼
 恋人がいる時の幸せとか、安心とか、あの満たされた感じを純粋に味わいたかったな。
 彼氏が出来てすぐの浮ついた気分が味わえないのは残念だった。仕方ないか、もう恋愛に揺れる年でも無くて、落ち着いた結婚相手を探すんだから。
 ――――――
「東谷ぁ、手空いてる? 」
「あ、はい。大丈夫ですよ」

 仕事中、一息ついていたらマネージャーが声をかけてきた。

「あとで全員呼ばれると思うけど、うちの看板商品、リニューアルすることに決まった」
「わぁ、ずっと言ってたやつですね。ついに……!」
「そうそう。そのリニューアルのプロジェクト、東谷も呼ばれるから。チームメンバーは来月から早速動いてもらうから、そのつもりで今月は今の仕事にめどつけといて」
「はい、頑張ります! 」

 既存の看板商品をリニューアルするのは新商品をつくるのより難しい。なぜなら数字を取れているのに、売り上げが下がる可能性があるからだ。今までの顧客が離れるリスクがある。社内からも反対する声がありなかなかリニューアルに踏み切れなかったのだ。

 部から時代のニーズを汲んで新規顧客獲得の可能性を期待する声が高まり、推し進めることにした。そのチームに呼ばれるのはすごく嬉しい。つい口元が緩んでしまう。

 仕事でも責任が重くなってきて不安もあるが、やりがいもある。看板商品か……。ロングセラーの機能性のついたお菓子はシリーズ化していて業界シェア上位を占める製品だ。

 刷新……かぁ。色々と変化の時が来てるんだな。勇気がいることだけど、変わるものと変わらないものと。

「いいなぁ、東谷さん。ちょこっとチャージシリーズのチームメンバーなんてめっちゃ花形じゃないですか。会社の精鋭たちって感じする。私も頑張ろう」
「ありがと、私もドキドキしてる。武者震いかも」

 隣の後輩沢田さんにそう言われ、心境を口にした。嬉しい出来事だった。
 
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