まだ青い彼
 ――土曜の午後の映画館で待ち合わせをする。

 さすがに土曜は人が多いなぁ。カップル、友達、親子、団体。カップルは相手どうし、同い年くらいかなぁって見てしまうし、親子連れはだいたい何歳くらいでその子を産んだのかなって計算してしまう。今の私が産んだら数年後にはあのくらいの子どもがいるのかな。そんなことばかり考えてしまっていた。

 あの子は、大学生くらいかな。……可愛いな。3人組で女の子二人が男の子を挟んで歩いて来た。どういう関係だろう、友だ……ち。

 男の子の顔を確認して、その人が今日の私の待ち人であることに気づいた。
 何でほかの子といるの?
 そう思っていると、広睦くんが私を見つけるとパッと顔を明るくして両サイドの二人に何か言って私の元へ駆け寄った。

「おまたせ、春美さん」

 にっこにこの顔にわずかに嫌な気分が緩んだが、彼女たちはその場で私を値踏みするように見てはひそひそとやっていた。

「うん。あの子たちは? 」

 意識せず声が低くなってしまう。
「ああ。そこで出会ったんです。大学の子。同じ映画見るらしい」
「そうなんだ」

 同じシアター、彼女たちは私たちのすぐ後ろで開場を待っている。

「ね、席どこ? 」
「は、席? 」

 後ろの子が広睦くんの手元を覗き込む。

「あー、うちらとはちょっと離れてるね。あ、でも普通横の席は取らないから、両隣は空席じゃない? せっかくだし一緒に見ようよ。ね、いいですよね? 」
 その子は広睦くんじゃなくて私に許可を取った。私に顔を向けた瞬間、じっと値踏みするように見られているのがわかる。

「やめろよ、そういうの。迷惑。マナー違反だし、こっちもやだね。お前、自分がこっち知らない友人といる時に無理に合流されたら嫌だろ。少なくとも俺は嫌。めちゃくちゃ嫌。彼女が何も言わないのをいいことに押し切ろうとすんなよ」
「……ちょっと言っただけじゃん」
「言ってくる自体どうかと思うよ」

 私は軽く会釈して顔を背けた。これ以上近くで見られたくない気分だった。
 
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