まだ青い彼
「普通、若いオトコから言い寄られても断らない? ってハナシ。なんかそこが気持ち悪いなって」
「広睦、年上の方が好きって言ってたけど」
「でもここまでは無くない? 男版枯れ専ってこと? 」

 好き勝手言ってくれる彼女たちに苦笑いするだけで、二人で話しているのかとほうっておく。

「ねえ、お姉さん、学生時代地味でモテなかったんじゃない? だからあのころ出来なかったことを広睦でやり直してるの? 若い男はちょろいでしょ。でもさ、みっともないよ。年相応の恋愛しなよ。それとももう同年代は残ってないの? 」
「あの頃の甘酸っぱい青ってこと? 当時は一軍男子を遠くから見てるだった的な」

 私の視線が動いたことで、彼女たちはバッと振り返った。
「あ、お帰り広睦」
 さっきまでの吊り上がった目が、恋する女の子の目にかわって、それすら眩しい気がして俯く。

「……何でここにいんの。やめろって言ったよな」
 私でもぞくりとするほどの低い声だった。
「え、でも、せっかく会ったんだし、合致しても……」
「せっかく会った? 俺は会いたくもないし。お前らといて彼女は楽しいと思うか? それとも何。楽しませる自信あんの」
「……だって」

 彼女が口ごもると、広睦くんは大きくため息を吐いて舌打ちをした。

「決めた。もう、友達にもならない。二度と声かけてこないで。俺は“やめろ”が通じない奴に好意を抱くことはない。一生な」

 広睦くんは私の腕を掴むと早足で歩き始めた。ちらり振り返ると一人は泣いていて、もう一人は慰めているみたいだった。

「ねえ、待って。早いよ。そんなに怒らなくても、ちょっとかわいそ……」
「っのさぁ、あいつらに会ってから自分がどんな顔してるかわかってる? 何で楽しいデート台無しにされなきゃなんないんだよ。あいつ……」

 広睦くんはそこで言葉を止めた。私はふっと笑う。

「うん。あなたのこと、好きなのね、あの子」

 広睦くんはぐしゃぐしゃと髪をかき上げた。
 
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