まだ青い彼
「俺の事好きだったら、俺の今の恋愛邪魔するんだ。それさ、もし俺が春美さんと別れたとしても次の恋人からあいつは除外するじゃん。そんなことがわからないわけ」
「冷静さを欠くくらいあなたを好きなんでしょ。……ほら、あなたって人を狂わせるんじゃない? 」

 茶化してフォローしたつもりが広睦くんは黙ってしまった。

「何で言い返さないんですか」
「何でって、うーん……私たちもうすぐ別れるの、とでも言えばよかった? 昔モテなかったのも、同年代に相手されてないのも事実よ」
「違うよ。普通若い男に言い寄られたら断らないってところ。断ったって言えばいいじゃん、でも俺がしつこくて折れたって……」
「随分前から聞いてたのね」
「春美さんが何て言うか聞きたかったんです。何も言わないんだね」
「でもまぁ、思い当たることもあったりで、でも思ったこと初対面の相手に伝えちゃうとことか、きっとそのうち若かったなって黒歴史になると思うよ」

 広睦くんは納得するようなしないような表情で掴んでいた私の腕を離すと、手を繋ぎ直した。

「んだよ」
「だって、怒ったら思うつぼだよ。あの子は私たちを別れさせたいんだから。広睦くんとはいつか別れるにしても原因は彼女たちじゃない方がいい。でしょ」
「うん。……そうだね。せっかく楽しみにしてたデート、自分で台無しにしてる場合じゃなかったな。ごめんなさい」
「私も」

 私は何も言えなかったけど、広睦くんが彼女たちに強く出てくれたことでいくらか救われた。でも、私が逆の立場なら口に出すかはともかく同じことは思ったかもしれない。年齢差って、やぱり特殊な関係に見えるんだろうな。

 一緒にいて楽しいし嬉しいと思う。けど、こうしてふとした時に現実を思い知らされる。あの子の言ったことは間違っていない。
 ――街の雑踏を抜け、人気のないベンチに座る。
 
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