まだ青い彼
 ――季節がまた進んだなあ。ベンチに影をつくる街路樹の緑が濃くなった気がする。

 私より広睦くんが目に見えて落ち込んでしまったので私は気持ちを割り切ることにした。いつもは何も考えてない強気な無法者がしょげてるのは、可愛い。って言ったら怒るだろうな。

「広睦くん、年上が好きって公言してるんだ」
「やー、好みのタイプとか色々質問されて『年下と年上どっちが好き? 』つーから適当に言っただけで、どっちでも。相手による。幼稚なのは勘弁」
「ふーん」

 私のふーんが気に入らなかったのかチッと舌打ちする。立ち上がると座ったままの私に顔を向けた。

「春美さんは、年上だから、じゃなくて俺の事を好きだって()()()()()()()()()()()からこっちがその気になっただけで、年上だったからじゃないって。パッと見で年齢わかんなかっただけで」
「……う、ごめんって」

 本当にどうしてこの子が都合よく同世代に見えたのかしら。

「春美さんも告ってくるにしちゃ早いだろ。そういや、なんで声かけようと思ったの。もう、見てるだけじゃ無理なくらい感情煮詰まった? 」
 反撃する気満々で腕を組んでニヤニヤする姿に吹き出す。やっぱり、可愛いんだけど。広睦くんの望む答えはあげられないかもしれないけど正直に話ことにした。

「あの時さ、やっぱり恋愛ってタイミングだなってことが重なったの」
「タイミング。まあ、そうだな」
「先手必勝! じゃないけど。もう出遅れて後悔はしたくないなって」

 ここから私はあの日の事を広睦くんに話した。

 私が広睦くんに告白しようと決心したあの日の出来事。同僚の結婚式で再会した先輩、橘さんのこと。いつも仲良くしていた三宅くんの事。……それから高校時代ずーっと片思いしていた眞鍋くんが同窓会で実は向こうも私を好きだったって教えてくれたこと。

 

 
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