まだ青い彼
「でさ、そうだったんだってしんみりしたのは私だけでね、先輩はとっくに結婚しているし、同期も結婚が決まって。同級生は2児の父。私だけ過去を振り返ってあの時私が気持ちを伝えていれば……ってどうしようもないことで悩んだの。それが悔しくって。後悔は次に生かすべきだって思ったの。この年になるといいなって思える人すらなかなか出来なくて……それで……」

「なるほど。()()()()()()もんな。俺みたいな……イケメン? 」
「ははは。そうだけど、そうだよ」
「はは、なんだそれ。まぁ、わからんでもないよ。その先輩、同期、同級生。近くに春美さんいたらそりゃあ恋心抱くよな」
「え、そうかなモテなかったよ私」
「違う、違う。モテてるのに気づかなかったタイプ。近くにいると……ほら、俺がいい例じゃん」

 さらりと言われてカッと顔が熱くなる。そう、タイミングを逃したことに後悔して、みんな現実(奥さん)や未来を見てるのに私だけ今に何も無いから過去を見て落ち込むの、悔しかった。

 そんな時、いつも電車で会う広睦くんがこうやって私が忘れた荷物をベンチで待っていてくれて……。
 電車で会って声をかけようって決心した。

 やっぱり、広睦くんはあの時の事、覚えてないんだよね。

「でも、何日も悩んで勇気かき集めて声かけたのに、結局は上手くいかない。結婚するのを目標とした時、この関係はうまくいくとは言えないでしょう。でも、遠回りなようで必要な成果指標だと思ってる」
「ふっ、まあね。俺しつこいから、黙らせるには納得させるしかないもんね。でも、結婚してもいいんだよ、俺は。これ、何回も言ってるけどね」
「うん。ありがとう」

 私が笑うと、広睦くんはまたちぇっと言った。
「その、誰だっけ。先輩の橘さんはまだ同じ会社にいるんだろ、それすらやですよ俺は」

 じとっとした目がいじらしい。
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