my memory love 〜あの時の約束〜
頭の中でぐるぐる考え事をしながら階段を登って部屋に入った。
「ありがとう、泉ちゃん」
にこっと微笑みながら出されたお茶を飲んでいる仁。
私もお茶を一気飲みした。
「…………」
少しの間私たちは沈黙が続いた。
「そういえばさ」
仁が口を開いて何かを話そうとした。
何かを話そうとしている仁は、部屋の棚の数あるぬいぐるみの中にいる、くまのぬいぐるみを指差している。
「これ、飾っててくれたんだね」
「あ、うん……なんか思い出としてとっておきたいなぁって。かわいいよね!それ」
「……思い出として、かぁ」
それは小さい頃、仁が引っ越す時にもらったぬいぐるみだった。
仁は少し寂しそうな表情でぬいぐるみを見た後、わたしに視線をずらした。
「泉ちゃん、俺のこと好き?」
「…………」
……どうして言葉が出てこないんだろう。
何も言えないまま私は下を向いてしまった。
「……え?ちょ、ちょっと……!?」
すると仁は突然私をひょいっとお姫様だっこして、ベットに運んだ。
ずっとずっと真っ直ぐに私のことを見つめている仁。私の上に馬乗りになった仁は、制服のリボンを外し、ワイシャツのボタンに手をかける。
「………っじ、じん?……」
「……優しくするから……」
上からひとつ、ふたつとボタンを外して。
3つ目のボタンに手がかかったとき、私の手が仁の腕を抑えるように止めた。
「……ごめんなさい……っ…」
気づいたら私は泣いていた。
大粒の溢れる涙を流しながら、ごめんなさいごめんなさいって、何度も仁に謝った。
「……っわ、わたし……」
「わかってるから……ごめんね、泉ちゃん…」
泣きじゃくるわたしは仁の顔も見れないまま、ずっと涙が止まらなかった。
仁はその間もずっと側にいてくれた。
「……私ね、仁が告白してくれたり、抱きしめてくれたり、キス……してくれたり、全部にドキドキして、たまに胸がチクンってなったり。
あぁ、私恋してるんだなって思ったの。
あの時の約束も覚えててくれたの知って、
本当に嬉しかったんだ。……でもね……っ…」
「……泉ちゃん」
「………ごめんなさい…っ…私やっと、わかっ…たの…っ……自分の気持ち……」
「泉ちゃんは最初から俺のこと好きじゃなかったんだよ。そんなのわかってた」
「……そんなことな……いよ…」
「泉ちゃんから『すき』って言葉言ってくれたことないでしょ?俺がどんなに聞いてもその言葉だけは言わなかったから」
「………ごめん、仁」
「謝らないで。わかってたのに強引に付き合ってもらったのは俺だから。
泉ちゃんのおかげで、また人を信じるとか好きになることができたんだよ。ありがとう、泉ちゃん。」
「………」
「早く行っておいで」
「………ありがとう、仁」