チャラ男も笑えば雑巾に当たる

しかたない。

人生で初めて足を踏み入れた男子の部屋が犬井駆っていうのは不服だけど、そもそも私が借りる立場だから見つからないと困るわけで。

バクバクと速度を増す鼓動を気にしないように部屋へ入る。

ベッド、机、椅子、本棚、サイドテーブルの上にCDプレイヤーとスピーカー、ラグの上にローテーブルとクッション。
窓辺にはこの前行った動物園で蜂技くんがとってくれた犬のおもちゃ。


「そこの本棚か机のどこかに絶対あるはずなんだけどねえ」


犬井駆がそう言いながら後ろ手にガチャンとドアを閉める。

ふたりきりの空間ができあがる。

やっぱりうるさい心臓。

落ち着かせるために大きく息を吸い込めば、犬井駆の香りが肺いっぱいに流れ込んできて余計に血圧が上昇する。


……おかしい。

こんなおかしい私、すごくいやだ。


「っ……なんていうタイトル?」


ごまかすように本棚の前に立って犬井駆を見ずに問う。


「Galaxysm 1st Players(ギャラクシズム ファースト プレイヤー)だったはず……宇宙柄のケースで一枚綴りだからうすいと思うよお」
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