チャラ男も笑えば雑巾に当たる

なぜ。

なぜ私は、こんなに、からだじゅうが熱いの。

たかが名前を呼ぶことがはずかしいから?
肩を抱き寄せられたあげく手もにぎられて照れくさいから?


「うわあ……ぼくけっこー落ちちゃったかも」


その吐息をやけに感じると思ったら、犬井駆の顔面がものすんごく間近に。


「っ!」


思わずあごを引いてぎゅっと目を閉じる。
そんなに甘い瞳で見つめられたら吸い込まれそうになる。

どき、どき、どき、どき、……。

理科室のときよりも大きな振動。


……何この気持ち。

蜂技くんへのキラキラした想いとは違う、じんわり溶けていくようなハート。

なにこれ。なに。どうなっちゃってるの私。


「ふはっ」


前髪が揺れた。
ほどける指先から解放される熱。

え、と思って目を開ける。

見上げると犬井駆はベンチの背もたれにひじをついて、大きな八重歯を見せて笑う。

いつもの純粋な子どもっぽい目つきで。


「ちゅーされると思った?」

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