魔法がなくても
テストや召喚、追われたりバイトしたり、魔法の仕組みを頭にたたきこんだりで、宙くんは何倍も時間がかかりそう。
「おいソラ、もっぺんやってみろ。だめならシエルのすすめるやつに変える」
「分かった。……よし、えっと──」
休憩をはさんだりしながら、数時間。
「皆ごめん、結局どれも無反応だった……」
「最初から上手くいくことなんてありませんよ。時間をかけてやるしかないです」
落ち込む宙くんにシエルは持参した本を選びなおしながら首を振った。
「んじゃあー次はどうしよ。なんならここで魔法陣かいて使い、魔……」
「おいっ」
「乃蒼」
"使い魔"──そのワードに、空気が変わった。
四やシエルが止めに入り、隣に座る桜も顔色を変える。
分かっていたことだけど……皆、いつも私に気をつかってくれているんだ。
私に使い魔がいないから、使い魔についての話題はいっさい私の前で話したことがないから。