魔法がなくても

「あること?」

「話せば長いけどよ。あれはたしか、入学して三カ月くらいの時で。セラは……授業中他の生徒を助けたんだ」


そう。……四が言う、キッカケ──それは授業中に起きた、水魔法の暴走。

遊び半分に水で竜巻を作っていた生徒たちがいた。
最初は小さな竜巻という感じで目にとめるほどではなかったけれど、面白がって大きくした矢先に力を制御出来なくなり、デタラメな動きで周りの花や石を巻き込みながら私たちのもとへと近付いてきた。

そこに逃げおくれた生徒のひとり。


そういう時こそ、魔法の使い時。
なのに、その子はすくんでしまって。

助けを呼ぼうにも、担当していた先生は少し離れた場所で別件でふざけていた男子生徒へのお説教中だった。

私もまだ入学して三ヶ月半ほどだったから、水竜巻をはね返したり打ち消したりする魔法は知らなくて……とっさに、覚えたてだったいれかえ魔法を唱えた。

ひとり残された女の子の名前と私の名前、最後にいれかえ魔法の呪文を。
一瞬にして立ち位置がいれかわり、直後に私は逃げる間もなく大きな大きな水の中へとのまれ、
そのまま湖に体がしずんでいった。
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