魔法がなくても
水面を目指してもがいた果てに、目の前が暗くなって……目を覚ました時にはすでに寮の部屋だった。
そしてその日をさかいに、水魔法と水への小さな拒絶反応が起きるようになってしまい、手の震えやシャワーの水にさえ触れないといった状況におちいった。
授業では桜や四がカバーしてくれていたけれど、私の水への意識が変わったことでこそこそと話す声が聞こえたりして。
『魔法の覚えがよくて割と優秀扱いされてるやつだろ?でも水が苦手になったら終わりだな』
『トラウマってやつだなぁ。水魔法なんて他と比べて重要な魔法のひとつだし、きついよなぁ』
『そう簡単には克服できないぜあれは。時間かかるとみた。その間におれら、あの子の成績ぬかせるんじゃないか?』
あははは──。
魔法を学ぶにあたって、水への苦手意識優秀扱いも終わり──度々そうささやかれていた。
心配してくれる声もあった中で、私の頭にも心にも残るのはそのささやき。
終わり、トラウマ、克服できない……あげく、笑い話にされた、ささやきだけ。