魔法がなくても



「はじめまして、編入生。ぼくは乃蒼」


ごく……本当にごくまれにしか見れない。乃蒼の無表情。まるでシエルみたいな無……。
宙くんをへんにゅー生と呼んでいたのに、今はすごく声が低いし感情がこもっていなかった。
それを察したシエルたちは息を吐き小声でつぶやく。

「はぁ、これは完全に嫉妬ですね。分からなくもないですが」
「嫉妬?ああ、私にだけ握手を求めたから……?」
「バカか……違ぇよ」


痛っ。
四に頭をこつかれた。しかも割りと強め。


「星羅とよろしくするなら、ぼくたちもよろしくしてあげるよ」

「……ははっ、面白いね。うん、仲良くしてくれるとうれしいよ」


乃蒼ににぎりかえられ、目を丸くした優利くん。それでも、笑顔で対応し女の子たちに追いかけられながら食堂をあとにした。

姿が見えなくなったとたんに、乃蒼は勢いよく椅子へと座る。


「もう!ぼくの星羅に何する気あの子!」

「一応は握手でしたけどね。一応は」
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