魔法がなくても
「あの、優利くんは初日のあいさつで握手を求めたり、笑いかけたり……私だけにするのはどうして?」
「……編入初日に、君のことを聞いたからだよ。学園一の生徒と知り合えば色々と教えてもらえると思って。それで仲良くもなれたらうれしい限りなんだけど」
「星羅っ!」
「あ、宙くんおつか──」
おつかれ、私がそう言う前に宙くんは私の手を取って、ベンチからはなれた。
私も優利くんも驚き目を丸くする。
けれど優利くんはふふっとほほえんだ。
「星羅さんには……ナイトくんがいるのか。僕は仲良くしようと話をしていただけだから安心してよ、紫翠宙くん」
優利くんは笑いながら立つと、またねと手を振って帰って行った。
「……宙くん?どうかしたの?」
「え?……あっこめん。なんか、嫌だったっていうか……です」