未完成のワンフレーズ
色褪せた一枚の写真。
少し前、ギターを練習するために取り出したら、偶然この写真を見つけた。
あの時は見たらいけないとすぐに目を逸らしたけど、今日は向き合わないと。
「なんで、私と李仁、せんせーにタケちゃんやみっちゃんが一緒に写ってるの?」
こんな写真、一度だって撮って無いはずだよ。
「っ⋯⋯」
「それに、ここに写ってる私、全然笑ってない。でも、あんたはすんごい笑ってる。まるで入れ替わったみたいだけど」
この写真には違和感しか無い。
四宮せんせーとみっちゃんの薬指には指輪があって、タケちゃんは誰ってぐらい優しい顔をしてる。
気持ちが悪いくらいの笑顔を浮かべる李仁の隣に座る私は、人形みたいな無表情だ。
「…………」
李仁の顔から、すっと笑みが消えた。
いつもの生意気な表情じゃない。
まるで、ずっと隠していたものを見つけられてしまったような顔。
「やっぱり、知ってるんだ」
「……ああ」
「説明して……私、これ見てからずっと変だと思ってた」
写真を指先で持ち上げる。
色褪せているのに、写っているものだけは妙に鮮明だった。
「私達、こんな写真撮ってない。せんせーも、みっちゃんも、タケちゃんも。こんな未来みたいな姿、私は知らない」
「…………」
「それに、この写真の日付」
写真の端に印字された数字を見つめる。
「……おかしいよね。私達、まだ一緒にクリスマス迎えてないはず。なのに、なんで日付が十二月二十五日になってるの?」
「紗綾」
「なに?」
「もう、やめよ」
やめてくれと、李仁は写真を握る私の手を掴んだ。
でも、そんなことをされたって引き下がる気はない。だって、こんなのおかしいもん。