冷徹生徒会長が私に甘くなるまで

言葉じゃなく、行動で信じてもらう!

翌朝。


「よしっ、今日も私らしく、気合入れて行こう!」


手鏡の前で前髪をさっと整え、リップグロスをほんのり乗せる。 昨日の夕飯でママ特製の豚の角煮を食べてパワーをチャージしたおかげで、私のコンディションは最高だ。


私立桜ヶ丘学園の校門をくぐると、すれ違う生徒たちから相変わらず「あ、昨日の……」「噂の転校生……」とヒソヒソ声が聞こえてくる。だけど、私は背筋をピンと伸ばして「おはようございます!」と元気に挨拶しながら廊下を歩いた。


逃げないって決めたんだから、堂々と胸を張る。それが私・朝比奈日葵の美学だ。


2年B組の教室に入ると、やっぱりクラスの空気はどことなくよそよそしい。みんなグループで固まってお喋りをしているけれど、私が近づくとスッと話題を変えたり、視線を逸らしたりする。


(ふふん、まだまだ警戒されてるなぁ。でも焦らない、焦らない!)


自分の席に着き、スクールバッグから今日使う教科書を取り出していた、その時だった。


――バシャッ!


「きゃっ……! ご、ごめんなさい……!」


すぐ前の席で、甲高い悲鳴と教科書が床に散らばる大きな音が響いた。


驚いて顔を上げると、前の席の女子生徒が青ざめた顔で立ちすくんでいた。 重めの前髪に黒髪のボブヘア、少し大きめの眼鏡をかけた彼女は、クラスでもいつも大人しくしている子だ。自分の筆箱を倒してしまい、大量のペンやノート、プリントを床一面にぶちまけてしまったらしい。


< 13 / 20 >

この作品をシェア

pagetop