【続編】ふたりの恋のそだてかた。
「いいね瀬名くん。抑制と劣情、かなり生々しく出てた。
いやぁ、正直1週間でここまで変わるとは思ってなかったから、驚いたよ!」
ハジメ監督の明るい声で、我に帰る。
と同時に、御伽蘭子の顎を掴んだままだったのに気付いて、咄嗟に手を離そうとした。
「……すみませ、」
けれど、パシッと両手で手首を掴まれて阻まれる。
怪訝に見下ろす御伽蘭子の鳶色の瞳は、爛々と輝いていて不気味なほど砕けた笑みを浮かべていた。
「今のは“侑征”ではなかったけどぉ――……
第一段階クリアだね?瀬名くん♡」
ぞくり。
全身に走った戦慄は彼女への恐怖か――それとも。
「うわ……出たよ……御伽さんの悪癖」
「怖いねー、年下でも関係ないんだ」
ヒソヒソと、現場の隅で面白半分呆れ半分で噂するスタッフたちの声は、俺には届かない。
「御伽蘭子の共演者食い。
瀬名くん、いつまで保つかね」
――そんな不穏も知らずに、不本意な成功でリテイク撮影は終結した。