【続編】ふたりの恋のそだてかた。

感情が声にも出て冷える。なおも腕に触れようとしてくる御伽蘭子の手を、咄嗟に腕を上げて避けた。


「そう?裏でちゃんと繋がってこそ、滲む生の演技ってあると思うけど」


迷いなくそう言い切った御伽蘭子の表情に、ひやりとする。

口元には薄い笑み。けれど目は一切笑っていない。
本気と狂気。それを本能的に察知して、目元がひくついた。

「それよりっ。瀬名くん、何かいいことあったぁ?
今日はいつもよりも、なんというかぁ――……浮ついてる、よね?」

一瞬にして、御伽蘭子の空気がいつもの掴みどころのない柔らかさに戻る。
ただし、つついてくるところは鋭い。

「……」

頭に昨日の瑠奈との一件が一瞬過ぎる。
でも、その感情を表面に漏らしたつもりは一切ない。

「……何もないですけど」

「そーぉ?ま、いいけど。
それよりさ、瀬名くん。香月式の演技やめたのー?
今日の撮影、細部の作り雑だったよねぇ」

「……」

さらりと刺す指摘に言葉に詰まる。
やめたわけじゃない。けど、今回のシーンは瑠奈に指導された箇所ではなかっただけ。

「……前回までは、事前に細かく指導されてたからできた演技だったので。今日もNG多く出したことに関しては、すみませんでした」

「あー、そういうのいいいい。お互い様だしぃ。
私が言いたかったのはぁ、雑だし拙かったけど瀬名くんが自分で役になろうとしてる感じがして良かったよってこと」


ぴた、と思考が止まる。
御伽蘭子が褒めた?
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