【続編】ふたりの恋のそだてかた。
不謹慎に可愛いとか思ってしまうけど、イジるのはやめておく。
凹んでる理由も……言いたくなさそうだから、触れないでおく。
「今日はどんな感じだったの?“例のアレ”今日だったんでしょ?」
“例のアレ”とは、蘭子さんとのキスシーンのこと。
今日演るって元々聞いてたから。
仕事だし、別にいいんだけど。
爽真にとっては必要な報告だったみたいだ。
『…………。それは……特にどうとも……』
一段落ちる声量と、少しだけハッキリしなくなる発音。
ん?なにこの爽真らしからぬ歯切れの悪さ。
なんともないなら何ともないって、キッパリ否定しそうなのに。
いや待て、でも相手はあの御伽蘭子。
あんな才能もあって色気も兼ね備えた大女優と仕事とはいえキスしたら、多少なりとも罪悪感が生まれるのかもしれない……!
(これか、爽真が凹んでる原因。悪いと思ってるんだ、私に)
「へぇ、そっか」
だから気にしなくていいって意味を込めて、至って平常心っぽく相槌を打つ。
爽真のこと信用してるし。悪いと思う必要ないと思っているのは、本心だ。