【続編】ふたりの恋のそだてかた。
バタンという音と同時、向こうに見えるリビングのドアも開く。
大きく開いたそこに、軽く髪をセットしただけの爽真がほんの少し焦ったみたいな顔をして立っていた。
「うわっ、びっくりした……おじゃまします」
思わず強張ってしまったのが気まずくて、妙に礼儀正しくお辞儀する。
「……うん」
僅かに目を細めた、無表情。
あまり履き慣れない華奢なサンダルのストラップをちょっと苦戦しながら外して、早足で廊下を抜ける。
爽真が開けたままにしてるドアからリビングの中に入ると、パタンと静かにドアが閉まった。
「暑かったー。アイス買ってこようと思ったんだけど、溶けるかと思ってやめた!それにそんなに時間もないしね。爽真、この後また仕事でしょ?」
久しぶりの緊張を紛らわすために、ペラペラと喋りながらソファへと歩く。
ソファ横にバッグを置いて、キャップを取りながら振り返ると――私の後についてきていた爽真が、そっと両手で私の伊達メガネのツルを掴んで外した。
きょとん。
視界の端にピンボケして映るフレームが消えて、それを持つ爽真が映る。
顔を顰めて、照れているのか拗ねているのか、なんとも言い表し難い表情。
「……」
「……? 爽真?どうかした?」
爽真はしばらく何も言わずに私のことをじっと見て、それからどういうわけか一息つく。
私のメガネを側のローテーブルに置くと、いつものソファの定位置に座って、私を見ながら自分の隣を指でトントンと叩いた。