【続編】ふたりの恋のそだてかた。
「……瑠奈?」

困惑顔の爽真。
そして私は、やった側だというのに目を見張ってびっくり顔。

「ごめん、爽真……服にリップ付けたかも。
いつもより濃い色のやつをしっかりめに塗ってたの、忘れてた……!」

“ああ、そういう……”
爽真が若干脱力した顔をして、ブルーのシャツに視線を落とす。

「付いてない。と、思う」

「そっか。うわ、ならよかった」

淡々とした返答に、ホッと胸を撫で下ろす。
この後仕事に行く服だろうに、メイク汚れなんてつけちゃってたら申し訳なさすぎるもん。

力が抜けて、ずっと爽真のシャツの裾を握ってた手が離れかける。
すると、それに変わるように爽真が私の頬を掬って口端に親指を置いた。

「確かにいつもと違う。今日。
メイクもだけど……服とか、雰囲気も」

じっと細める双眸が、甘いのに艶っぽい。
頬を覆う手が熱くて、きゅんと胸が音を立てた。

「え……あ。琴乃……役と、真逆の雰囲気で変装しようという作戦で……へ、変だった?」

なんでこんなにドギマギしているんだろう?
ドラマの撮影が始まってからの爽真は、時々妙に圧が増す気がする。

「……変っていうか……」

言葉を詰まらせた爽真の眉間がより強く寄る。


何を言おうとしているのかじっと見つめていると――

一瞬の沈黙の後、勢いでしたみたいな速度で顔の距離が縮まって、その癖優しく唇が触れ合った。
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