【続編】ふたりの恋のそだてかた。
Ep.20 感情を使う演技
SIDE:瀬名 爽真
「あぁ……いーよ、瀬名くん……
だいぶ慣れてきたね」
「御伽さん、変な声出すのやめてください」
「あー。だめ、不快そーな顔しないで?さっきまでの表情、すっごくよかった」
「……これ、演技って言えるんですか」
「御伽さん、瀬名さん!シーン12、撮影開始します!」
スタジオの物陰で壁際に追いやられている俺と、至近距離で迫る御伽蘭子に遠くから男のスタッフがそう呼びかけてくる。
人目につかないところで異性のキャストがこの距離感でいるのに――何事もないかのような態度だ。
「はぁーい」
御伽蘭子もあっさりと離れて、ボルドー色の髪を靡かせ人のいる方へと歩き出す。
――6月29日。
連ドラの撮影が始まって、早くも1ヶ月以上経過していた。
撮影前に恒例化しつつある御伽蘭子の演技指導――
そう呼んでいいのかもわからない。
その時撮影する侑征の心情を、俺に想像させる語りかけ。
瑠奈みたいに技術的なことを具体的に教えてくることはしない。
ただ、俺の感情に作用するように暗示をかけてくる――そんな指導法だ。
「あぁ……いーよ、瀬名くん……
だいぶ慣れてきたね」
「御伽さん、変な声出すのやめてください」
「あー。だめ、不快そーな顔しないで?さっきまでの表情、すっごくよかった」
「……これ、演技って言えるんですか」
「御伽さん、瀬名さん!シーン12、撮影開始します!」
スタジオの物陰で壁際に追いやられている俺と、至近距離で迫る御伽蘭子に遠くから男のスタッフがそう呼びかけてくる。
人目につかないところで異性のキャストがこの距離感でいるのに――何事もないかのような態度だ。
「はぁーい」
御伽蘭子もあっさりと離れて、ボルドー色の髪を靡かせ人のいる方へと歩き出す。
――6月29日。
連ドラの撮影が始まって、早くも1ヶ月以上経過していた。
撮影前に恒例化しつつある御伽蘭子の演技指導――
そう呼んでいいのかもわからない。
その時撮影する侑征の心情を、俺に想像させる語りかけ。
瑠奈みたいに技術的なことを具体的に教えてくることはしない。
ただ、俺の感情に作用するように暗示をかけてくる――そんな指導法だ。