【続編】ふたりの恋のそだてかた。
――美咲の部屋のセットの中。
生活感のある空間と無機質なスタジオが同時に映る、歪な視界。
美咲とその婚約者・大翔の2人分の生活の痕跡がある部屋に、成り行きで上がり込むことになった。
これから行われるのは、そんなシーンの撮影だ。
「よーい……ハイッ!」
「“今タオル持ってくるから……ちょっとそこで待ってて”」
毛先と肩口を濡らした美咲が、焦りながら玄関でパンプスを脱ぎ捨てて部屋の中に走っていく。
“遅いから送る”そんな口実で美咲の帰路に着いて行った後、突然の雨に降られた。
この場面の前には、そんなシーンが入る。
ト書き通り、玄関口から部屋の中を見渡す。
狭い1DK。玄関脇のシンクに、コーヒーの跡が残るペアのマグカップ。
向こうに見える棚には、並ぶツーショット写真。
『想像して、瀬名くん。
これから“君”は、好きな人と別の男が暮らす空間に入り込むの。浮気疑惑で亀裂が入ってるかと思いきや、そこにはまだ普通に恋人同士の生活が色濃くある。
瀬名くんの侑征なら――どんな気持ちになる?』
数分前の、御伽蘭子の言葉を思い出す。
御伽蘭子がシチュエーションを語る時、“美咲”や“侑征”じゃなくて“好きな人”、“君”と対象をぼかすから――……
どうしても瑠奈と自分に置き換えて想像してしまう。
生活感のある空間と無機質なスタジオが同時に映る、歪な視界。
美咲とその婚約者・大翔の2人分の生活の痕跡がある部屋に、成り行きで上がり込むことになった。
これから行われるのは、そんなシーンの撮影だ。
「よーい……ハイッ!」
「“今タオル持ってくるから……ちょっとそこで待ってて”」
毛先と肩口を濡らした美咲が、焦りながら玄関でパンプスを脱ぎ捨てて部屋の中に走っていく。
“遅いから送る”そんな口実で美咲の帰路に着いて行った後、突然の雨に降られた。
この場面の前には、そんなシーンが入る。
ト書き通り、玄関口から部屋の中を見渡す。
狭い1DK。玄関脇のシンクに、コーヒーの跡が残るペアのマグカップ。
向こうに見える棚には、並ぶツーショット写真。
『想像して、瀬名くん。
これから“君”は、好きな人と別の男が暮らす空間に入り込むの。浮気疑惑で亀裂が入ってるかと思いきや、そこにはまだ普通に恋人同士の生活が色濃くある。
瀬名くんの侑征なら――どんな気持ちになる?』
数分前の、御伽蘭子の言葉を思い出す。
御伽蘭子がシチュエーションを語る時、“美咲”や“侑征”じゃなくて“好きな人”、“君”と対象をぼかすから――……
どうしても瑠奈と自分に置き換えて想像してしまう。