【続編】ふたりの恋のそだてかた。

Ep.22 等身大の演技

7月9日。

今日は朝から夕方まで映画の撮影日。
土日は校舎を借りられる日だから、撮影スケジュールも密密だ。

琴乃と湊の秘密の逢瀬の場となる美術室の片隅で、私と紫苑は待たされている。

画に欲しい日差しが翳ってしまったから、雲が晴れるまで目処の立たない待機だ。


「連ドラ観たよ。ちゃんと演技できるようになったんだって、正直驚いた」


廊下に面する壁に持たれて、紫苑が声を顰める。

すぐそばには誰もいない。スタッフ達は、忙しそうに業務に夢中になっている。

「何その上から目線。
……当然でしょ。私だって練習に付き合ったんだから」

ム、としつつ、満更でもない気持ち。
アオバケの頃の演技の出来なさからしたら、この成長に驚くのもわかる。


「え。うわ……それどんなプレイ?だからラストとか妙に生々しかったんだ」

「変な言い方しないで!真面目な演技練習なんだから!」


……まぁ多少事故ったけど。

そんなのわざわざいうことじゃないし。嘘はついていない。嘘は。


思わず顰めた眉を元に戻して、ちょっと前に出た背を壁際に貼り付け直す。


油断するとすぐ妙な方向に持っていこうとする。
どこが爽やか?こんな奴。

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