【続編】ふたりの恋のそだてかた。
爽真の顔が一瞬で無になる。
「とりあえず、入れば?」
止めていた手をポンと頭に落としてから、数歩リビングへと先行した。
(な、なんか怒ってる……?)
「うん。お邪魔します……」
あまりに素っ気ない言い方に、変に緊張が走る。
できるだけ急いでサンダルを脱いで、不機嫌な爽真の後に続いてリビングに入った。
ドアの向こうにきた瞬間、濃く香るコンソメの匂いとご飯が炊けたような匂い。
すぐご飯にできるようにしていたのだろうか?
主婦力が高すぎて面目なくなる。
キッチンに入った爽真が、コンロの火を止める。
それからなぜか、ソファに腰掛けて仏頂面の目で私に来いと合図してきた。
「爽真?あの、あれは完全に仕事で、私も紫苑も今更別になんとも――」
言い訳しながら隣に座ろうとしたら、くんと腕を引かれる。
バランスを崩して腰を落とした先は、爽真の脚の間だった。
「あ、あの、爽真さん……?これは一体……」
真正面から抱き締められるのとはまた違う距離の近さ。
背中に密着する体温に混乱していると、きゅっと首元に爽真の腕が回る。
ぽす、と肩口に顎が乗っかる感覚に、すんと息を吸った音。
横目に見た爽真の顔が、一層拗ねたみたいに歪んだ。