【続編】ふたりの恋のそだてかた。
緩く指先を握ってくる仕草と、まだ掠れ気味の声にドギマギする。
沈まれ煩悩。ここは私がちゃんと線引きする場面だ。
「……」
妙に素直にしゅんとしだす爽真によくわからない庇護欲を刺激される。
ドッと強くなる鼓動に危険を察知して、「支度したいから洗面所借りる」と洗面所に走って避難した。
(うわぁあ……心臓に悪い。起き抜けに破壊力高すぎる、寝起き爽真……)
メイクセットすら持ってないから、最低限髪と顔だけ整えてこそこそと洗面所を出る。
わずかな時間の間にカーテンが開け放たれていて、爽やかな朝のリビングに様変わりしていた。
「……じゃ、帰る」
気が変わらないうちに、さっさと変装セットを身につけてバッグを肩に掛けてしまう。
「ん。気をつけて」
まだ少ししょげて見える爽真が、仕方なく折れたように頷いた。
「……」
ちくりと罪悪感と、後ろ髪を引っ張られる感覚。
どうしようと悩んで、咄嗟に爽真の肩に手を置いて無防備な頬に軽く口付けた。
――一瞬で離して、込み上げてくる羞恥心に唇を噛む。
「……じゃ!また来るから!」
ぽかんとしてる爽真を置いて、転がるように玄関まで走って一息で外に出た。
(わー、無理!恥ずかしすぎる!)
ここ最近の自分の情緒についていけない。
熱が引かない頬を夏の朝日のせいにして、閑静なエントランスを爆速で駆け抜けた。