【続編】ふたりの恋のそだてかた。
ぽかんと目も口も開きっぱなしになる私の反応に、美玲が「あれ?」という顔をしてさらに焦り出す。
「へー!すごいじゃん爽真っ!」
「紫苑くんもアオバケ後すぐのドラマでブレイクしてますし、大チャンスですねっ」
私の様子に気づかない彩加とひよりは、無邪気にきゃっきゃとはしゃいでいる。
「……もしかして瑠奈ちゃん、聞いてなかった……?
……ごめんなさい、事務所内ではちょっと前から有名な話だったから……知ってるものかと……」
“まずいことを言った”と美玲がものすごく申し訳なさそうな顔をして、私の反応を伺っている。
しーんと、なんとなく気まずくなる空気。
これは良くない。切り替えないと。
「大丈夫大丈夫!
私が映像作品!って毎日のようにうるさく言ってるから、言いづらかっただけでしょ〜。
それより彩加、最近大和とどうなの?この間の喧嘩、仲直りしたっ?」
豪快に笑って、気丈な演技で取り繕う。
「いつの話してんの!?そんな半年前の話、とっくに解決してるからっ」
楽しい笑い声が戻ってきて、内心ホッとする。
美玲は最後までどこか心配そうにしていたけど、多分気にしないふりをして笑ってくれていた。
「はー、笑った!次はまた、半年後くらいかな?」
「ですねっ!瑠奈ちゃんはまた来月、会いましょうねっ」
1時間後――カフェの前の通りに出て、分かれ道で手を振り合う。
「うん、また連絡する」
「じゃあ、瑠奈ちゃん。またね」
テキトーに用事を作って、駅に向かっていく3人に背を向けて歩き出す。
人混みに紛れながら、まだ明るい空に頭を垂れてスマホを握りしめた。
開いたのはトーク画面。
簡潔なやりとりが続くページ。
“連ドラのこと、なんで教えてくれなかったの?”
そう手早く打ったのに、それより速く言葉を消す。
(やっぱり直接聞こう。明後日には会えるし……)
洗練された、人の行き交う街路樹の並ぶ夕方の道。
ショーウィンドウに映る私の横顔は、思っているより暗かった。