【続編】ふたりの恋のそだてかた。
2人掛けのソファなのに、私の側に不自然な余白。
企画書を落とした爽真の手がもう片方の頬を包んで、こつんと額を突き合わせた。
「瑠奈自身が嫌じゃないのかって聞いてるんだけど」
「嫌じゃないよ、演技でしょ?
お互い様じゃん」
「……。俺は嫌なんだけど」
そっと近づかれて、唇が触れ合う。
一瞬触れただけ。でも、溶けるくらい甘い。
「キスシーンもあるし迫るシーンも多い。
瑠奈以外と?って思う」
ひゅっと息が喉に引っ込む。
ストレートに甘いことを言う爽真はレアだから。
感情と正常な判断まで蕩けそう。
揺らぐ視線を爽真から一度逸らして、息を吐く。
気をしっかり引き締めてから、もう一度ちゃんと向き合った。
「……爽真と役は、切り分けて考えた方がいい。
爽真の方は私がもらうから。だから演ってみてよ、爽真」
私は、映像の中で輝く爽真を見てみたい。
自分が演技好きだからなのかもしれないけど。
ほんとにね、輝けると思うんだよ。
じっと真剣に爽真を見つめる私に、爽真の瞳が揺らぐ。
一瞬伏して、考えて、降参したように息を吐いた。
「……瑠奈がそこまで言うなら、受けてみる」
「ほんとっ!?」
ぱっと表情が明るくなった私に、爽真はやっぱり複雑そうな顔で。
「でも俺が触れたいって思うのは瑠奈だけだから。
そこだけは、覚えといて」
目を見て静かにそう言ってから、ゆるりと抱き寄せられる。
薄く開いたカーテンの隙間から覗く空には夜が混じって、徐々に昼が閉じていく。
「……そこ疑ってないから、勧めてる」
「ならいい」
きゅっと抱き返せば、爽真の腕の力がほんの少し強まって。
寂しさなんて感じる必要なかったな、なんてぼんやりと思った。