【続編】ふたりの恋のそだてかた。

Ep.9 御伽蘭子と成宮紫苑

SIDE:瀬名爽真

――5月2日。13:00。
アジテレビ局内。

今日、ここで7月期木曜10時帯連続ドラマ【夜が明けるまで、帰れない】の初顔合わせが行われる。

入り組んだテレビ局の廊下を足早に歩きながら、俺に先行するマネージャーの三木さんが緊張した面持ちで話しかけてくる。

「いい?爽真。何度も言うけどこのドラマ、あなた以外は売れてる実力派ばかりだから。
とにかく礼儀正しくすること!挨拶は絶対一人一人に、忘れないで」

「はい、わかってます」


――瑠奈にも散々言われたし。


『挨拶は主役から主要キャスト、他共演者の流れですること!ただし他ドラマ主役級の特別出演枠がいた場合は、そこへの気遣いも忘れない!』


台本片手に、すごい剣幕で迫ってきた瑠奈のことを思い出す。


『あと、雰囲気!徹底!控えめな新人じゃ絶対舐められるから!
なんで爽真がこのキャスト陣の中で主役に選ばれたのか、第一印象でわからせてやりな!』


なんで俺より必死なんだよって、思えば思うだけ少し笑える。

「25分前か。まぁまぁかな。
一番乗りならいいけど……」

三木さんがぼやきながら、【夜が明けるまで、帰れない キャスト挨拶】の紙が掲示された白いドアをノックする。

「失礼致します」
「……失礼します」

キィ、と控えめにドアを開けた三木さんに促されて、中に入る。
部屋の最奥、コの字型に整然と並んだ机の一番端に誰かが座っている。その後ろには、手帳を見ながら控えているスーツ姿の男の姿も見えた。
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