【続編】ふたりの恋のそだてかた。

ガタンと椅子の背もたれに目一杯張り付いて後退する。
紫苑が困ったように片眉を下げて、態とらしく苦い顔をした。

「何想像したの?まさかまだ未練あると思ってる?
やめてよ。この一年半、俺に何人彼女がいたと思ってるの?」

やれやれ、と盛大なため息をつく紫苑に図星をつかれて、微かに頬に赤みが差す。
顔をこわばらせる私に、“色んな意味で唯一ではあるけど”と含んで笑う意図はわからない。

「俺さ、個人的に今の売り方にちょっと限界感じてるの。
そこを突破するために、香月さんを使おうって思ったわけ」

「……。天下の大スター様に、私が助けになることなんて、」

「わぁ、やめてよそういうの。一個役が当たっただけだって。宝くじみたいなもん」

ゆったりと椅子に座り直しながらさらっと言ってのける気風は、嫌味でもなんでもなくスター性を思うけど。

話せば私の知る黒くて策士の紫苑だって思うから、ちょっと複雑な気持ちになる。

「私に何を求めてるの?」

「変化。爽やか王子で好青年な成宮紫苑を崩さずに、俳優として新たな一面を引っ張り出したい」

間を置かない即答。
できるって決めつけているかのような余裕綽々の微笑みに、思わず心臓が跳ねる。
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