【続編】ふたりの恋のそだてかた。
「監督 柏 浩典さんと、原作者の真弓 祥子さん入られます」
ドアが開いて、また空気が変わる。
実年齢は確か30代後半なのに、前半くらいに見えるスタイリッシュなシャツスタイルの男性と、丸眼鏡に下ろしたてに見える上品なワンピースを纏う30代くらいの見た目の女性が入ってくる。
――正確には、脚本家や演出家の人もいるけれど。
この人たちが今回の映画の神様。
彼らにも、しっかり私の印象を植え付けないと。
――……
「では、本読み始めます」
全員揃っての挨拶を終えて、いよいよ本読みが始まる。
本読みとは、演者とスタッフとでやる台本の読み合わせ。
ただの台本音読に見えるけど、その実台詞のテンポ感や雰囲気、監督や演出家・原作者の解釈を取り込むのに必要な重要事項だ。
冒頭一発目から、私と紫苑のモノローグで物語は幕を開ける。
しんと張り詰める緊張感。
コの字に並ぶ机の向かい側では、制作陣が私たちの演技を測るかのように静かにこちらを見守っている。
隣で涼しい顔をしている紫苑と、チラリと目配せし合う。
さぁ、飲み込め。空気を引き寄せろ。
成宮紫苑と引けを取らないどころか、食う勢いでやってやる。