【続編】ふたりの恋のそだてかた。
「しかも蘭子さん、私のこと知ってたんだ。嬉しい。
演技タイプまで知ってるってことは、私の演技、ちょっとは目を留めてくれてたってことだよね」

胸がほわっとして、ちょっと浮かれる。
雲の上のような憧れの人だったから、そんな人に認知されてるなんてすごいことだ。

爽真もなぜか、嬉しそうに目を細める。
ほっと和らぐあったかい時間。


でも演技が絡む時間に、その空気は持続しない。


「爽真が私とタイプ違いってことは、今までの教え方じゃダメだってことだよね!
蘭子さんの言う“こっち側”ってなんだろう?憑依型?もっと感覚的ってことかな?」


ころっと視線が鋭くなった私に、爽真の顔はスンとする。

“この空気をもうちょっと引っ張りたかった”そんな雰囲気が漏れ出ていた。


「蘭子さんの演技は知ってるけど、役作りの過程は見たことないからなぁ。どうやってるんだろう?
あの人格どころか、人ごと別物になったみたいな生感」


私の演技イメージは、“その人”の仮面を被る感じ。
でも蘭子さんの演技って、もっと言葉にできない肌感というか、内から出るリアルがあるように見える。

爽真の目が、チラッと斜め上を向く。
蘭子さんの演技を目の当たりにした感触は拾えているけど、言語化できないから黙ってる、そんな様子だ。

「んん……はっきりわからないけど、とりあえず感覚的に教えた方がいいって感じなのかな?
なら、実際に演りながらのほうが近道なのかも」

「え」

「台本貸して、爽真」

状況についていけてない爽真に向かって、手を差し出す。
いいことを思いついた子供のように、悪戯っぽくニヤリと笑う。

「NG連発したシーン、私と実演してみよ!」
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