【続編】ふたりの恋のそだてかた。
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白色のシーリングライトを消して、ダウンライトを灯す。
舞台は閉店後の消灯済みのカフェ。
できる範囲の雰囲気作りだ。
ダイニングテーブルに座って、爽真はその背後になるリビングのドア前に立たせる。
あの日のシーンの再現。
蘭子さんの代わりなんて、ちょっと緊張するけど高揚もする。
「蘭子さんは、合図ですぐ泣いてた?」
「え?……あー……だったかも」
「そっか」
ちょっとだけ武者震い。
爽真に背を向けたまま、静かに俯く。
「私はね、そんなすぐ泣けないから――
3分待っててね」
言ってすぐ、瞬きを止める。
後ろで爽真が“泣くの?”って、ギョッとしてたことには気付かない。
時間が経って目が痛くなってきて、湿度が増してきたのがわかる。
そこに浅い呼吸を乗せて、生理的な涙を悲しみに変える。
「……ッ……、ん。オッケー。始めるね」
喉を詰らせながら、短くスタートの合図を出す。
瞬間震えた後ろ姿に、爽真の指先がピクリと動いた。
「“く、……ぅ……どう、して……?”」
言うと同時に、狙っていた涙が頬を伝った。
ここは美しく泣きたいから、鼻を啜るのは我慢する。
絶望に打ちひしがれる、綺麗な大人の女の涙。
それを表現したい。
背後に立つ爽真が、完全に気後れしている。
役と本人を分けられていない。だから声に戸惑いが混ざる。
「“美咲、さん……。……泣いてるんですか……?”」
(そこはもっと、狂気的かつ淡々と!)
――と、ストップをかけたいけど抑える。
爽真が感覚派なのだとしたら、きっと流れは切らない方がいい。