【続編】ふたりの恋のそだてかた。
仮面を落としてストンと真顔になると、爽真の手がぴたりと止まる。
「爽真じゃん。侑征どこいった」
「あ」
“あ”じゃない、“あ”じゃ。
何で今気づきましたみたいな顔してんだ。
「侑征の心情を思い出して!婚約者のせいでずーっと手が出せなかった美咲が、そいつのせいで泣いてるの!」
立ち上がりくるくると場を動いて身振り手振りを踏まえながら、力説する。
「でも侑征は同情しない。“絶好のチャンス。これで美咲が手に入る”って欲望が一気に噴き出るの!
でも、抑えて冷静。本当は震えるほど嬉しい。そういう心情なの!」
爽真の目の前にグッと迫る。
まだ潤んだ目で間近に爽真の瞳を見つめて、演技イメージを叩き込む。
「想像。イメージ。この涙は煽情。与える感情は、庇護じゃなくて欲望。可哀想じゃなくて、欲しいって思って。
爽真は侑征で私は美咲なんだから、“私”に優しくしないで」
「……っ」
戸惑いに揺れていた爽真の双眸が、ぴく、と見開く。
顎に滴らせたままの私の涙を拭こうとした手が、不自然に止まった。
「わかったらはい、もう一回」
そんな彼に背を向けて、私はまたテーブルに戻る。
(私の涙も、悲しみに寄せすぎたのがいけなかったのかな。
ならもっと色気の方強めに出してみるか……)
思いながらまた涙のスタンバイ。
明日、目腫れないといいけど。
「爽真じゃん。侑征どこいった」
「あ」
“あ”じゃない、“あ”じゃ。
何で今気づきましたみたいな顔してんだ。
「侑征の心情を思い出して!婚約者のせいでずーっと手が出せなかった美咲が、そいつのせいで泣いてるの!」
立ち上がりくるくると場を動いて身振り手振りを踏まえながら、力説する。
「でも侑征は同情しない。“絶好のチャンス。これで美咲が手に入る”って欲望が一気に噴き出るの!
でも、抑えて冷静。本当は震えるほど嬉しい。そういう心情なの!」
爽真の目の前にグッと迫る。
まだ潤んだ目で間近に爽真の瞳を見つめて、演技イメージを叩き込む。
「想像。イメージ。この涙は煽情。与える感情は、庇護じゃなくて欲望。可哀想じゃなくて、欲しいって思って。
爽真は侑征で私は美咲なんだから、“私”に優しくしないで」
「……っ」
戸惑いに揺れていた爽真の双眸が、ぴく、と見開く。
顎に滴らせたままの私の涙を拭こうとした手が、不自然に止まった。
「わかったらはい、もう一回」
そんな彼に背を向けて、私はまたテーブルに戻る。
(私の涙も、悲しみに寄せすぎたのがいけなかったのかな。
ならもっと色気の方強めに出してみるか……)
思いながらまた涙のスタンバイ。
明日、目腫れないといいけど。