世界で一番わがままな君とガラスの心臓
明日はスプーンの先でちいさく氷をすくい、品よく口に含んだ。


ほんのり赤いシロップが、彼女の薄い唇を水みずしく彩っている。


「……ねえ、明日」

「なに?」



庭を渡る潮風に髪を揺らしながら、私は膝の上のガラス器を見つめた。


「私ね、最近ちょっとタイムが伸び悩んでてさ。今日のインターバル走も、最後の一本で全然足が出なかったんだ」


「ふうん。風花にしては珍しいじゃない」
< 23 / 63 >

この作品をシェア

pagetop